クリストフスー (Christophe HSU) – 皮膚科医. ジュネーブ、スイス 糖尿病とは何か。 糖尿病は、西洋諸国でよく見られる病気です。 糖尿病患者は、血糖値が高く、適切な管理を怠ると目・腎臓・神経系・血管などの様々な器官に長期合併症を引き起こすことがあります。 皮膚病は、糖尿病患者によく見られます。糖尿病患者の特徴として発生する皮膚病もあります。 糖尿病に伴う一般的な皮膚疾患は? 糖尿病性皮膚障害 これは、糖尿病患者によく見られる最も一般的な皮膚疾患です。 すねの部位に見られることが多く、茶色の瘢痕が出現します。茶色の瘢痕が形成される前兆として、赤い斑点または水疱が現れる場合があります。 原因は、皮膚の微小血管の異常な変化によるものです。 この病気には、標準的な治療法がありません。自然治癒が起こり、陥凹性瘢痕へと変化する傾向があります。 壊疽 糖尿病による脚の大血管閉塞(血行不足)が原因で、長時間歩くときに痛みを伴う場合があります。深刻な血管閉塞の場合、皮膚組織が壊死し、足指に壊疽性変化が生じることがあります。 手術で壊死組織を除去する必要があります。重症の場合は、脚または足の切断が必要です。 糖尿病性神経障害 糖尿病による血管閉塞が原因で、神経が傷つけられる場合があります。 脚に灼熱感、チクチク感、しびれなどを感じることがあります。 患者によっては、無感覚または感覚を感じにくくなる場合があり、脚に注意を向けていないと、外傷がもとで褥瘡または皮膚潰瘍などを発症する可能性があります。 皮膚感染症 糖尿病患者は、皮膚感染症を発症しやすい傾向があります。麦粒腫、腫れ物、真菌感染症は、それらの例です。 中には、深刻な感染症を引き起こすケースもあり、一刻も早い治療が必要な場合があります。例)よう(癰)-毛包の細菌性感染症(膿瘍)、蜂巣炎-細菌感染症。 蜂巣炎は、発症すると脚に熱を持った腫れ物が出現することが多く、赤みがかったその腫れ物は、押すと柔らかみがあります。 壊疽性筋膜炎は、生死に関わる深刻な皮膚感染症であり、感染が筋肉まで奥深く達する場合があります。皮膚に、痛みを伴う炎症性および出血性の腫れ物または水疱が生じ、緊急治療・手術が必要です。 下肢蜂巣炎 リポイド類壊死症 これは、皮膚の微小血管の異変が原因で生じる、まれな糖尿病合併症です。 すねに皮膚障害が起こることが多く、罹患した部位は赤茶色の枠の中に黄色がかった斑点が出現します。 時折、糖尿病と診断される前に、前兆としてこの皮膚病に罹患するケースがあるので、リポイド類壊死症を発症した場合は糖尿病の検査をする必要があります。 潰瘍を伴ったリポイド類壊死症 黒色表皮症 これは、糖尿病によって引き起こされる皮膚疾患です。 遺伝性疾患や内臓癌などの内科疾患の兆候ともされています。 肥満の方によく見られる皮膚病です。 脇・上背・首・股間などの部位に、分厚くて滑らかな黒褐色の皺襞(ひだ)が現れるのが特徴です。 黒色表皮症 黄色腫と黄色板腫 糖尿病患者は、血清脂質値(コレステロール、トリグリセリド)が高いことが多く、蓄積した脂肪分が皮膚に浸潤して黄色腫または黄色板腫を引き起こすことがあります。 黄色腫は、肘・膝・かかとなどの骨ばった部位に無症状性の黄色く固い結節が出現します。時折、帽針頭大の黄色い丘疹が、臀部(尻)に群がって生じることがあります(発疹性黄色腫)。 黄色板腫は、高血中コレステロールの兆候として現れ、まぶたに黄色い斑点が出現します。 治療は、飽和脂肪の摂取を抑えた食事制限で血清脂質値を標準に戻し、また、必要であれば脂質低下を促す内服薬を投与します。 環状肉芽腫 これは、小児および若年成人によく見られる皮膚疾患です。 多くの場合、糖尿病と関連しています。 初期症状の特徴として赤い斑点が現れ、進行するにつれて円形状に拡大していきます。手(特に指)や肘に発症することが多いです。 環状肉芽腫が広範囲に出現した場合、糖尿病が絡んでいるケースがあります。糖尿病の兆候および症状が出る前に、環状肉芽腫を発症することもあります。従って、広範囲に環状肉芽腫が出現した場合は、糖尿病の検査を受ける必要があります。 環状肉芽腫 糖尿病に関連した皮膚病を発症した場合の処置方法は? 細菌性皮膚感染症や壊疽などの深刻な合併症の場合は、直ちに治療を受けてください。 早期段階で医師に相談してください。入院する必要がある場合もあります。 治療を怠ると、これらの合併症は、命に関わる危険性があります。感染潰瘍は、抗生物質で治療する必要があります。…
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