乾癬とは何か?
- 乾癬は、皮膚の炎症性疾患です。
- 炎症を引き起こす原因とされる細胞の浸潤物が、周りの細胞の炎症も誘発し、炎症過程を長引かせます。
乾癬患者の割合は?
- 世界の人口の約2%が乾癬を発症しています。地域差があり、北欧の乾癬発症率は更に高い傾向にあります。
- 年齢に関係なく発症しますが、二峰性があり、最初のピークが20~30代にあった後、50~60代で次のピークがきます。
見た目の症状は?
- 病型(尋常性乾癬、膿疱性乾癬、滴状乾癬)と罹患部位(頭皮乾癬、爪乾癬、逆位乾癬)によって病変が異なります。また、過去になんらかの外傷があった部位に発症することもあります(ケブネル現象)。
- 最 も多い病型は、尋常性乾癬で す。尋常性乾癬は、赤斑の表面に厚い銀色の鱗屑(りんせつ)が出現します。膝、肘、尻、頭皮などに局所的に現れます。また、爪(崩壊、油滴、小陥凹)や口 腔(地図状舌)に症状が現れることもあります。病変の表面をこすると、ろうそくをこすっているような感覚があります。こすり過ぎると出血を引き起こします (アウスピッツ血露現象)。
- 乾癬は、掻痒を起す疾患としては分類されていませんが、乾癬患者の3割は、痒みを訴えてきます。
乾癬(炎症性角化症)
乾癬の病因は?
- 遺伝的および環境的要因によって細胞の代謝回転が早まることが病因です。
- 遺 伝的要因:遺伝性の疾患であることが指摘されており、遺伝子データの研究も行われています。しかし、双子(一卵性)のデータでは、片方が乾癬を発症したと しても、もう片方が同じく発症する割合は70%と、100%には満たないことから、遺伝的要因だけでは病因を説明することはできないと示唆されています。
- 環 境的要因:いくつかの環境的要素が指摘されていますが、いまだに解明されていません。リチウム製剤、β(ベータ)受容体遮断性の降圧薬、抗マラリア剤など の経口薬が誘因となる場合もあります。ストレスが症状を悪化させることもあります。また、滴状乾癬に関しては細菌感染(連鎖球菌)によって引き起こされる ことがあります。
乾癬は治るの?
- 治療中は、症状が改善し消えることもありますが、乾癬自体が治癒されるわけではないため、治療を中断すると再度症状が現れる傾向にあります。
- 滴状乾癬に関しては、抗生剤を使用した治療法で治癒される場合があります。
治療法は?
- 治療を始める前に、症状をどこまで改善させたいのか明確にしておくことが大切です。患者によっては、厚い鱗屑が剥がれ落ちる症状を抑えるだけで満足されることがありますが、それだけでなく、鱗屑を完全に消したい患者もいます。
- クリーム・軟膏:保湿剤、コールタール、ステロイド(コルチコステロイド)、ビタミンD誘導体。
- 光線治療(光線療法)、PUVA療法、UVB療法。
- 経口薬:ビタミンA誘導体、シクロスポリン、メトトレキサート。
- 注入薬:生物学的製剤
© 2009
クリストフスー (Christophe HSU) – 皮膚科医. ジュネーブ、スイス
全国皮膚センター (National Skin Centre). シンガポール
日本語訳:白 富美
はじめに
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