癜風(でんぷう)とは何か。
- 癜風は、酵母菌が皮膚を感染することによって発症する皮膚真菌症である。表皮に色の薄いうろこ状の皮疹が生じる。これらの皮疹は、顔、首、肩、腕、胴体、あるいは脚に出現する。医学上の呼称は、癜風である。
- 生まれつき皮膚の色が濃い場合は、薄い色の皮疹が生じる。
- 逆に、生まれつき色が白い場合は、濃い色の皮疹が生じる。薄い色の皮疹は、酵母菌のアゼライン酸の存在によって説明がつく。しかし、濃い色の皮疹に関しては、理由が知られていない。
- 発症の原因となる酵母菌は、ピチロスポルム・オバーレ(Pityrosporum Ovale)と呼ばれる癜風菌である。
- 治療は簡単だが、再発する傾向がある。
癜風(でん風)
「白癬」とは何か。
- 白癬にかかると、うろこ状の赤い輪形の皮疹が出現し、輪の周辺は盛り上がる傾向にある。胴体に生じたものを体部白癬(たむし)といい、股に生じたものを股部白癬(いんきんたむし)という。真菌感染によって発症する。頭皮や爪などの部位にも発症する場合がある。
「水虫(足白癬)」とは何か。
- 水虫にかかると、足指の間の皮膚がうろこ状になり剥離しやすくなる。痒みが生じることもある。感染の原因となる真菌は、足の裏や爪にも広がる場合がある。医学上の呼称は、足白癬である。
カンジダ症/モリニア症とは何か。
- 口唇や性器周辺に頻繁に発症し、特に糖尿病患者や、経口ステロイド薬服用者、長期間抗生剤を投与されている患者に多くみられる。赤い発疹が出現し、痒みを伴う。女性の場合は、痒みを伴った腟分泌物が出ることもある。
表層真菌感染症の予防法。
- 皮膚が温かく湿っていると、真菌は繁殖しやすい。足指の間、脚の付け根、脇の下は真菌感染症を防ぐために乾燥させておかなければならない。
- 床が塗れている場合は、素足で歩かない。例)浴室、洗面所、水泳プール。真菌感染を防ぐためにスリッパを履く。
- 生理用ナプキン、タオル、くし、ヘアブラシは、真菌感染の原因になることがあるので、貸し借りをしない。真菌は容易に伝染するので、必ず個人のアイテムを使用すること。罹患した部位に触れてしまった場合は、滅菌してから使用すること。
- ナイロン素材の靴下や足全体を覆う靴は、汗の蒸発を妨げるので、発汗が多い場合はコットン素材の靴下か、つま先の開いたサンダルを着用すること。
- バランスの取れた食事、運動、休息の時間をもつなどして、健康的な生活様式を守り、身体の抵抗力を養うこと。弱った身体は真菌感染を引き起こしやすい。
身体の皮膚真菌感染症
表層真菌感染症の治療法。
- 医師に処方された抗真菌クリームを1日2、3回患部に塗り、これを3週間続ける。抗真菌クリームには、ナイスタチン、トルナフテート、イミダゾール、ナフチフィンなどがある。
- 病変が消えても、すぐに治療を終了しないこと。感染による病変が消えた後も、最低7日間は治療を継続すること。白っぽい皮疹が生じていた場合は、治療後も色が残ることがある。しかし、皮膚が正常に快復していくにつれ、元の色に戻る。
- 真菌感染が広範囲に及んだ場合は、経口抗真菌薬が処方されることもある。
- 癜風(でんぷう)を予防するために、抗真菌シャンプー(例、硫化セレンシャンプー)を毎月1回使用してもよい。15~30分ほど皮膚に付けた後、リンスして流す。感染した場合は、7日間使用を続けることで快復する。
© 2009
クリストフスー (Christophe HSU) – 皮膚科医. ジュネーブ、スイス
全国皮膚センター (National Skin Centre). シンガポール
日本語訳:白 富美
はじめに
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