真菌感染症(白癬、しらくも)
- 頭部白癬は、頭皮の真菌感染症である。
- 頭部白癬は、成人よりも小児に発生することの方が多い。
- 頭皮の真菌感染症は、感染の度合いや感染源によって、症状が異なる。軽症の場合、痒みを伴ったうろこ状の皮疹が症状として現れる。毛 包と毛髪も感染する。感染した毛髪は不規則に切れて、禿げた部分が露出する。その部分の皮膚は、炎症で赤みが生じることもある。重症の場合(感染したペッ トから人への感染が多い)、罹患した部位の赤みは増し、皮膚が柔らかくなり、じくじくするといった症状が現れる。炎症を起こした皮膚から膿が染み出し、禿 瘡(とくそう)と呼ばれる腫瘤または腫物が形成されることもある。感染した毛髪が抜け、かさぶたが生じることもある。
- 頭皮の真菌感染症は、経口抗真菌剤の服用と適切な毛髪ケアを行うことによって、治療することができる。
- 再発防止のために、感染源(例、ペット)も同時に治療をしていく必要がある。
- 永久的な瘢痕または脱毛を防ぐには、早期発見と早期治療が大切である。
- 頭皮の真菌感染症にかかった疑いがある場合には、直ちに医師に相談すること。
毛包の細菌感染症(毛包炎、腫物)
- 毛包症は、毛包の細菌感染症である。
- 毛包症は、にきびのような突起物が頭皮に現れる。頭皮の様々な場所に、痛みを伴う赤くて柔らかい腫物が出現する。膿疱が見られることもある。
- 毛包症に感染しやすい人と、そうでない人に分かれる。
- 感染が頻繁に起こる場合は、免疫系に異常がないか、検査で確かめる必要がある。
- 毛包症は、経口抗生物質で治療することができる。
- 清潔さを維持し、薬用(アンティセプティック)シャンプーで定期的に頭皮と毛髪を洗うことによって、再発を防ぐことができる。
- 感染を抑えるために、長期間経口抗生物質を服用するケースもある。
帯状疱疹(帯状ヘルペス)
- 帯状疱疹は、ウイルスによって引き起こされる感染症である。水疱瘡(みずぼうそう)を引き起こすウイルスと同じである。水疱瘡のウイルスが再び活性化されることで、帯状疱疹が生じる。過去に水疱瘡を発症したことがある場合にのみ、帯状疱疹が出現する。
- 免疫が弱っている人に起きやすい。例)ウイルス感染症の後や癌患者など。
- 神経根に沿って、疱疹が線状に出現する。疱疹が現れる前に、痛みや痒みが度々発生する。その後ひどい痛みを伴う赤い疱疹が現れ、やがてただれ、かさぶたとなる。出現する部位の例)額、首、前頭部の頭皮、後頭部の頭皮。
- 人により差はあるが、通常約2週間で症状は消える。
- 皮膚損傷が消えた後も、何ヶ月にも渡ってひどい痛みが続くケースもある。高齢者は、帯状疱疹後神経痛を発症するリスクが高い。
- 帯状疱疹にかかったら、医師に相談すること。免疫が低下している原因を特定するために検査を実施する場合もある。
- 効果的な治療は、早い段階(症状が現れてから48時間以内)で適切な抗ウイルス薬を投与することである。経口抗ウイルス薬は、帯状疱疹の治療期間を早め、症状も軽減することができる。
© 2009
クリストフスー (Christophe HSU) – 皮膚科医. ジュネーブ、スイス
全国皮膚センター (National Skin Centre). シンガポール
日本語訳:白 富美
はじめに
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